海外マーケティング
フィリピン向けマーケティングの最適解——日本ブランドがSNSで売上を作る設計図
総人口の8割超がSNSを使う若い市場・フィリピン。TikTok Shopが急成長するこの国で、日本ブランドが「話題になったのに売れない」を避け、SNSの発見を売上に変えるための市場特性と設計のポイントを最新データとともに解説します。

「東南アジアで何か始めるなら、まずどの国か」——そう考えたとき、フィリピンは候補の上位に入りにくい国かもしれません。ベトナムやインドネシアに比べると、市場としての語られ方が少ないためです。しかしSNSとソーシャルコマースの観点で見ると、フィリピンは日本ブランドにとって「最初の一歩を踏み出しやすい国」のひとつです。
この記事では、なぜ今フィリピンなのか、そして日本企業がフィリピン向けマーケティングで成果を出すために何を押さえるべきかを、市場データと実務の観点から整理します。
この記事でわかること
フィリピン市場がSNSマーケティングに向いている理由
「話題になったのに売れない」が起きる本当の原因
日本ブランドが現地で信頼される「証明」の作り方
発見から購入までのチャネル設計の考え方
なぜ今フィリピンなのか
フィリピンをマーケティング市場として見たとき、際立つのは「若さ」と「SNSへの依存度の高さ」です。
総人口約1.17億人のうち、ソーシャルメディア利用者は約9,580万人。人口の81.9%がSNSを使っている計算です。しかも年齢の中央値は26.1歳と若く、新しいブランドを試すことに前向きな層が厚いのが特徴です。ネット利用者に限れば、その97.7%がSNSを利用しています。つまりフィリピンでは、ほぼ全員がSNSを使い、そのSNSが「商品を知る場所」であり「買う場所」でもあります。
この「発見から購買までをSNSが担う」構造は、TikTok Shopの伸びに象徴されています。フィリピンにおけるTikTok ShopのGMV(流通総額)は2025年第1四半期に前年同期比+54%で成長し、推定5.8億米ドルを超えました。SNSの投稿がそのまま購入ボタンにつながる——この地続きの導線が、フィリピン市場の最大の魅力です。
プラットフォーム別に見ると、広告リーチが最も大きいのはFacebook(約9,580万人・人口比81.9%)。次いでTikTok(約6,400万人)、YouTube(約5,960万人)、Instagram(約2,690万人)と続きます。注目すべきはInstagramで、前年比+24.6%と最も高い成長率を示しており、ファッションやビューティといったビジュアル訴求が効く領域との相性が高まっています。
(出典:DataReportal「Digital 2026: The Philippines」、EchoTik「TikTok Shop 2025 Q1 Report」。数値は2025年10月時点および2025年第1四半期時点)
「話題になったのに売れない」が起きる理由
フィリピン市場でよく聞かれる失敗が、「バズったのに売上につながらなかった」というものです。人気クリエイターを起用し、再生数も伸びた。それなのに購入に至らない——。
この原因の多くは、投稿の出来ではなく「売れる準備」の欠落にあります。具体的には、次のような状態のまま発信を始めてしまうケースです。
現地で在庫がなく、買いたい人が買えない
購入経路(ECストア・リンク)が整っていない
価格・配送・返品の条件が現地に合っていない
そもそも表示してよい効能・訴求が確認されていない
クリエイターがどれだけ良い投稿をしても、その先の受け皿がなければ関心は購入に変換されません。フィリピン向けマーケティングは、「クリエイターを起用すること」から始めるのではなく、「買われる状態を作ること」から始めるのが鉄則です。
日本ブランドの信頼を「現地の証明」に変換する
日本ブランドには、品質への信頼という大きな強みがあります。しかしその信頼は、フィリピンの生活者にそのまま伝わるわけではありません。「日本で人気」という事実は、現地では購入の決め手になりにくいのです。
重要なのは、日本での評判を、フィリピンの生活者が「買う前に自分で確かめられる形」の証明に翻訳することです。たとえばコスメやスキンケアであれば、次のような現地条件に置き直した証明が効きます。
多様な肌色・肌質への適合:現地の生活者と同じ肌色・肌質のクリエイターが実際に使う様子を見せる
高温多湿の気候での持ち:汗や皮脂に対して何時間持つかを、条件をそろえて実演する
継続使用の記録:14日・30日・60日と使い続けた変化を正直に記録する
ここで避けるべきは、結果をあらかじめ決めた「やらせ」の演出です。短期的には効果があっても、レビュー文化の根強いフィリピンでは、正直でない証明はいずれ見抜かれます。繰り返し使える信頼を作るのは、地道で正直な証明だけです。
「発見」と「購入」のチャネルを分けて設計する
フィリピンのSNSマーケティングでもうひとつ重要なのが、チャネルごとに役割を分けて設計することです。再生数が伸びるチャネルと、実際に購入が起きるチャネルは同じとは限りません。
大まかには、次のような役割分担で考えると整理しやすくなります。
TikTok:発見と証明。実演・比較コンテンツで関心を作る
TikTok Shop / Shopee / Lazada:購入。公式ストア、ライブ販売、クーポン
YouTube:深い検討。長尺のレビューや使い方解説が検索流入の受け皿になる
Facebook:生活圏への浸透。グループや家族層への再配信
Instagram:ブランドの世界観づくりと発売告知
「発見のチャネル」と「購入のチャネル」を最初から両方設計しておくこと。これが、話題を売上に変えるための実務的なポイントです。
小さく検証してから広げる
フィリピン市場が初めての場合、いきなり大規模なキャンペーンや日本への招待企画に投資するのは得策ではありません。まずは対象製品を1つに絞り、数名のクリエイターで市場の反応を検証する——この「小さく始めて、続ける価値があるかをデータで確かめる」進め方が、リスクを抑えながら現地適合を見極める近道です。
検証で勝ちパターンが見えてきたら、ライブコマースの定例化や連載企画へと広げていく。需要を確かめてから投資を大きくすることで、成果が次の施策に積み上がっていきます。
まとめ
フィリピンは、SNSが発見から購買までを担う、若く巨大な市場です。日本ブランドにとっては、SNSマーケティングの成果が売上に直結しやすい環境が整っています。一方で、「クリエイターを起用すれば売れる」という単純な話ではありません。売れる準備を整え、日本の信頼を現地の証明に翻訳し、発見と購入のチャネルを設計する——この設計があってこそ、話題は売上に変わります。
Dawinは、海外向けのSNS・インフルエンサー(KOL)マーケティングを強みとし、フィリピンをはじめとする東南アジア・北米・欧州など幅広い地域で、現地適合の設計から実行・レポートまで一気通貫で支援しています。「フィリピン市場に関心があるが、何から始めればいいか整理したい」——そんなご相談を歓迎しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
関連記事
SNSマーケティング、海外マーケティング、インフルエンサー起用、海外展開やWeb3関連のご相談に、Dawinの専門チームが無料でお答えします。
無料で相談
海外市場特有の課題とチャンスに合わせた専門的な戦略の企画立案を提供します。 市場でのポジショニングやキャンペーンの設計から、市場参入(GTM)戦略やエコシステムの成長に至るまで、私たちのチームはプロジェクトがマーケティングの複雑さを乗り越えられるよう支援します。
株式会社Dawin 〒461-0001 愛知県名古屋市東区泉1丁目23番34号
