海外マーケティング
暗号資産の広告・インフルエンサー規制を国別比較|日本・EU・英国・米国で海外展開前に知るべきルール【2026年】
暗号資産の広告やKOL施策のルールは、国によって大きく違います。日本の改正金商法、EUのMiCA、英国FCAの金融プロモーション規制、米国のFTC・SECのルール、そしてXの有料パートナーシップの地域制限まで、海外展開するWeb3プロジェクトが事前に押さえるべき点を比較表で整理します。

国内で手応えのあったWeb3プロジェクトを、いよいよ欧州や北米に広げる。現地のKOLに投稿を依頼し、広告も出す計画を立てている。そんなときに見落とされがちなのが、国ごとの広告ルールの違いです。
日本では「PR」と書けば済んでいた投稿が、英国では違法な金融プロモーションに当たることもあります。さらに、Xのようなプラットフォームは、法律とは別に地域ごとの制限を設けています。
この記事では、日本・EU・英国・米国の暗号資産の広告とインフルエンサーに関するルールを比較し、海外展開の前に確認すべき点を整理します。
この記事でわかること
4つの国・地域の広告・インフルエンサー規制の比較
英国が「最も厳しい」と言われる理由
EUのMiCAと、インフルエンサー規制を強める動き
Xの有料パートナーシップの地域制限と、施策設計のチェックリスト
結論:「広告だと示す」は世界共通。違うのは「誰が出してよいか」
どの国でも共通しているのは、対価を受けた発信は広告であることを明示するというルールです。違いが大きいのは、その先です。
英国:そもそも広告を出せる人・承認できる人が限られている
EU:ホワイトペーパーとの整合など、広告の中身に要件がある
米国・日本:表示義務が中心で、日本は2027年までにKOL本人にも義務が及ぶ
加えて、Xは英国・EU・オーストラリアで、暗号資産の有料プロモーションを認めていません。法律とプラットフォームの両方を見る必要があります。
4つの国・地域の比較
国・地域 | 主なルール | KOL施策への影響 |
|---|---|---|
日本 | 景表法のステマ規制、改正金商法の表示義務(施行待ち) | 対価の表示。KOL本人にも義務が及ぶ |
EU | MiCAのマーケティング・コミュニケーション規定 | 広告と分かる形、ホワイトペーパーとの整合 |
英国 | FCAの金融プロモーション規制(2023年10月〜) | 認可業者などの承認が必要。違反は刑事罰の対象 |
米国 | FTCの推奨表示ガイド、証券の宣伝報酬の開示義務 | 重要な関係の明示。証券なら報酬額の開示 |
以下、地域ごとに見ていきます。
英国:広告を「出してよい人」が限られる
英国では2023年10月8日から、暗号資産の宣伝が金融プロモーション規制の対象になりました。日本の感覚で施策を組むと、最もつまずきやすい国です。
承認の要件:宣伝は、FCAの認可業者が出すか承認する、またはFCAに登録した暗号資産事業者が出すなど、限られた経路でしか行えない
リスク警告:「失う覚悟のない資金は投資しないでください」といった定型の警告文が必要
勧誘インセンティブの禁止:友人紹介ボーナスや新規登録ボーナスで投資を促すことはできない
初回の熟慮期間:初めて投資する人には24時間の熟慮期間を設ける
違法な金融プロモーションは刑事罰の対象になりえます。FCAは2024年に、金融商品を宣伝するインフルエンサー向けの指針も公表しています。
さらに、暗号資産の新しい規制体系も動き出しています。FCAは2026年6月30日に最終規則を公表し、新制度は2027年10月25日に始まる予定です。
(出典:英国金融行為規制機構(FCA)の暗号資産プロモーション規制・金融インフルエンサー向け指針、FCA「New regime for cryptoasset regulation」)
EU:MiCAの広告ルールと、インフルエンサー規制強化の動き
EUでは、暗号資産市場規則(MiCA)が広告の中身にルールを設けています。
広告と分かること:マーケティング・コミュニケーションであることが明確に識別できる
公正であること:公正・明確で、誤解を招かない内容である
整合性:ホワイトペーパーに書かれた内容と一致している
MiCAのもとでは、各国の経過措置が遅くとも2026年7月1日で終わり、EU域内で暗号資産サービスを提供するにはMiCAの認可が前提になりました。
さらに10月初めには、欧州証券市場監督機構(ESMA)が欧州委員会に対し、インフルエンサーや第三者による暗号資産の宣伝について、ルールを厳しくするよう求めたと報じられています。EU外の事業者が認可なしにEUの投資家を狙うことへの監督強化も、あわせて提言されました。
(出典:MiCA(EU規則2023/1114)、Cyprus Mail(2026年10月2日))
米国:FTCの表示ルールと、証券の宣伝報酬の開示
米国では、連邦取引委員会(FTC)の推奨表示ガイドが基本です。広告主とインフルエンサーの間に金銭や商品提供などの「重要な関係」があれば、分かりやすく目立つ形で開示する必要があり、インフルエンサー自身も責任を負います。
対象の暗号資産が証券に当たる場合は、さらに厳しくなります。証券を宣伝して報酬を受けるときは、報酬を受けた事実と金額を開示しなければなりません。
2022年には、著名タレントが暗号資産トークンを宣伝した際に報酬を開示しなかったとして、米証券取引委員会(SEC)と約2億円(126万ドル)で和解しました。有名人であっても例外ではないことを示した事例です。
日本:2027年までにKOL本人へ表示義務
日本では、2023年10月から景品表示法のステマ規制が始まり、広告主に「広告であることの明示」が求められています。
これに加えて、2026年7月に成立した改正金商法により、暗号資産の取引判断に関する意見を対価を受けて発信する場合、KOL本人にも対価を受けている旨の表示義務がかかります。施行は遅くとも2027年7月です。
詳しくは「暗号資産のステマ規制とは?改正金商法でKOL・インフルエンサー施策の何が変わるか」で解説しています。
プラットフォームのルール:Xは英国・EU・豪州で有料PRを認めていない
法律と同じくらい実務に効くのが、プラットフォームのルールです。
Xは2026年3月1日、それまで禁止していた暗号資産の有料プロモーションを、「有料パートナーシップ」のラベルをつけることを条件に解禁しました。ただし、英国・EU・オーストラリアは対象外です。
ラベルが前提:有料の暗号資産プロモーションは、有料パートナーシップの表示をつける
地域の除外:英国・EU・オーストラリアの利用者に表示されないようにする責任は、発信者側にある
広告出稿:検索やSNSの広告も、国ごとの認可や事前の承認を出稿の条件にしていることが多い
つまり、欧州でのKOL施策は、Xの有料投稿に頼る設計がそもそも成り立ちにくいということです。現地の認可事業者との組み方や、教育的なコンテンツへの切り替えが必要になります。
(出典:Cointelegraph(2026年3月2日))
海外展開前のチェックリスト
最後に、日本のWeb3プロジェクトが海外でKOL施策や広告を始める前に確認したい項目です。
対象国を決める:どの国のユーザーに届けるのかを先に決め、国ごとのルールを確認する
英国・EUは承認と認可から:英国は承認の経路、EUはMiCAの認可状況を確認してから施策を組む
表示を統一する:どの国でも通用する形で、投稿の冒頭に広告表示とプラットフォームのラベルをつける
インセンティブを点検する:紹介ボーナスやエアドロップの条件が、対象国のルールに触れないか確認する
配信地域を制御する:Xなどで、対象外の地域に有料投稿が表示されない設定と運用を決める
ルールは国ごとに違い、しかも2026〜2027年にかけて大きく動きます。施策の開始前に、現地の法律の専門家とあわせて確認することをおすすめします。
まとめ
暗号資産の広告・インフルエンサーのルールは、国によって「どこまで厳しいか」が大きく異なります。
共通点:対価を受けた発信は、広告であることを明示する
英国・EU:出してよい人や広告の中身に要件があり、Xの有料PRも対象外
米国・日本:表示義務が中心。日本は2027年までにKOL本人へ義務が及ぶ
海外展開の成否は、どの国で何をしてよいかを最初に整理できるかどうかにかかっています。ルールを味方につけた施策は、現地のユーザーからの信頼にもつながります。
株式会社Dawinは、北米・東南アジア・欧州など幅広い地域を対象に、海外向けのSNS・インフルエンサー(KOL)マーケティングを支援しています。なかでもWeb3関連事業のマーケティングでは国内トップレベルの実績があります。
「どの国から展開すべきか」「国ごとのルールに沿ったKOL施策を組みたい」。そんなご相談を歓迎しています。
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